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🇺🇸【スプリント予選分析】角田裕毅、18位の真相──Red Bullの“痛恨の誤算”と時間切れの現場

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戦えなかった18位。
その数字の裏には、わずか数秒の判断がすべてを左右した現実がある。
角田裕毅がアメリカGPスプリント予選(SQ1)で沈んだ理由を、チームのコメントと現場の構造から徹底的に掘り下げる。


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🕒 1.「走れなかった」──時間切れがすべてを奪った

アメリカGPのスプリント予選。
角田裕毅は18位でQ1敗退。
だが、その理由は“遅かった”のではなく、走れなかったことにある。

セッション終盤、彼は2回目のアタックに向けてピットアウトするも、
スタートライン通過の直前でチェッカーフラッグが振られた
つまり、最後のラップを始めることすらできなかったのだ。

“We got it wrong, honestly.”
「正直に言えば、我々が間違えた。」
— Laurent Mekies(Red Bull代表)
出典:Motorsport.com

この言葉がすべてを物語る。
原因はチーム側のタイミングマネジメントの失敗にあった。


⏱️ 2. Red Bullの“タイトすぎた”プログラム設計

Red Bullは、SQ1の終盤にガレージ内での冷却時間(クーリング)を重視した。
しかしそれが裏目に出る。出走が遅れ、ウォームアップもギリギリに。
結果、角田はスタートラインに0.5秒届かず
タイム計測を失った。

“We owe Yuki an apology.”
「Yukiに謝罪すべきだ。」
— Laurent Mekies(Red Bull)
出典:The Race

Mekiesは「プログラムがタイトすぎた」「チームが間違えた」と認め、
責任を明確にしたうえで、角田に対して謝罪の意を表した。

さらにこう続ける。

“Only two cars could make it to the line in time, and we couldn’t secure that slot for Yuki.”
「時間内にスタートラインを通過できたのは2台だけで、Yukiのための枠を確保できなかった。」

つまり、ガレージ間での出走順序ミスが重なり、
角田が「タイミングの犠牲者」となったという構造的問題でもあった。


🚗 3. Lawsonの前方ブロックとトラフィック

さらに、ピットアウト直後の前方車両(Liam Lawson)との位置関係も影響。
Lawsonが角田の前をキープし、クリアラップを取る余地を奪った。

“He was in front of me and slowed on the out-lap. It ruined my preparation.”
「彼(ローソン)は私の前にいて、アウトラップで減速した。そのせいで準備が台無しになった。」
— Yuki Tsunoda(スプリント後コメント)
出典:RacingNews365

この瞬間、ターン12〜20区間でトラフィックが発生し、
アタック準備のための温度管理・バッテリー充電にも狂いが生じた。
つまり、2回目のアタックを仕掛ける余地がゼロになったのだ。


🧊 4. 初回アタックの限界と「複合的な敗因」

1本目のアタックでは、角田は中団グループの中盤あたりのタイム。
しかし路面温度は上昇中で、後半のラップほど有利な状況。
そのチャンスを逃したのが、今回の“18位”という数字の正体だ。

“The first lap wasn’t enough, but we were supposed to go again. The plan was there.”
「最初のラップは十分ではなかったが、もう一度行く予定だった。プランはあった。」
— Laurent Mekies(The Race)

要するに、プランBまで完遂できなかったという意味。
最初のラップが振るわず、2回目が実行不能。
この2つが重なったとき、予選は「終わり」になる。


🧠 5. チームの謝罪に潜む「含み」

Red Bullは全面的に謝罪しているように見えるが、
実際のニュアンスは「我々が悪い、だが改善余地はある」という形だ。

“Yuki’s first lap could’ve been a bit stronger. With a tighter window, that matters.”
「Yukiの1本目のラップがもう少し良ければ、結果は違っていたかもしれない。タイトなスケジュールでは、それが重要になる。」
— Laurent Mekies(The Race)

つまり、完全なチーム責任ではなく、ドライバー側にも改善の余地がある
この言葉の重みは、内部評価の世界では大きい。
F1は原因ではなく“結果”で評価されるスポーツだ。
したがって、ミスが誰にあったかよりも「誰の順位が下がったか」が問題になる。


💣 6. 18位の意味──データに刻まれる「印象値」

レッドブル昇格1年目の角田にとって、
この“18位”はチーム内の数値比較で不利に働く可能性がある。

チームは各セッションごとに

  • 予選平均順位
  • コンディション別パフォーマンス係数
  • ピット出走対応精度
    などをデータ化しており、結果はすべて「数字」として残る。

そのため、チームのミスであっても
角田の「平均値」が下がれば、評価の表上は本人の責任となる。
不条理だが、それがトップチームの現実だ。


🔥 7. 角田が“守るべきもの”

現在、リカルド、ローソン、ハジャールといった後続が控えており、
1つの凡退が“信頼の減点”として積算されていく。

このスプリント予選は、
「不運でも評価は下がる」
というF1の冷酷さを象徴している。

しかし、Mekiesの発言のトーンからも分かる通り、
チーム内部では“角田の責任ではない”という認識も共有されている。
次戦以降での巻き返しが、唯一の反証手段になる。


🏁 数字の中に消えたラップ

18位。
だが彼は、走っていない

アタックを始める直前で止まったその瞬間、
角田裕毅は「速さ」ではなく「構造の罠」に沈んだ。

Mekiesが語った “We owe Yuki an apology.” は、
単なる謝罪ではなく、チームの自己反省の象徴でもある。

それでも、世界は数字だけを見る。
F1の評価軸に「事情」は存在しない。
だからこそ角田は、次のスプリントで結果を上書きするしかない。


🔗 参考ソース