F1 角田裕毅

【角田裕毅の運命を握る“メキースの眼”】

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SPA, BELGIUM – JULY 27: Yuki Tsunoda of Japan and Oracle Red Bull Racing with Laurent Mekies, Team Principal of Oracle Red Bull Racing during the F1 Grand Prix of Belgium at Circuit de Spa-Francorchamps on July 27, 2025 in Spa, Belgium. (Photo by Mark Thompson/Getty Images) // Getty Images / Red Bull Content Pool // SI202507271777 // Usage for editorial use only //

2025年7月──ホーナー電撃解任によってレッドブル・レーシングのトップに就任したローレント・メキース。彼は型破りなカリスマ型リーダーではない。エンジニアとして現場を知り尽くし、データとロジックに基づくチーム構築を信条とする“構造派”の指導者だ。

そのメキースが、レーシングブルズ(旧アルファタウリ)代表時代から一貫して高く評価してきた存在こそが、角田裕毅である。

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■ 異例の賛辞:「360度すべてにおいて成長した」

2024年のシーズン中盤、メキースは公式F1インタビューでこう語っている:

“He is making steps 360 degrees. He’s getting better in dealing with low points, improving his technical feedback massively, and he’s becoming a team leader.” (彼は360度あらゆる面で成長している。困難に対処する力、技術的フィードバック、大きく向上している。今やチームリーダーになりつつある)

Mekies hails Tsunoda’s ‘360 degree’ improvement
Racing Bulls Team Principal Laurent Mekies has heaped praise on the “incredible step” that Yuki Tsunoda has made in the ...

これは技術的な進歩だけでなく、メンタル面やチーム内での振る舞いに至るまで、角田の総合的な成長を全面的に評価した発言だ。単なるパフォーマンスではなく、“人としての成熟”を強調している点で、異例と言える賛辞である。

■ 「予想を超える飛躍」──想定外の信頼感

同じく2024年シーズン終盤、F1公式サイトは次のようなメキースのコメントを報じている:

“Nobody could have forecast how outstanding he has become.” (彼がここまで素晴らしい存在になるとは、誰も予想できなかった)

Mekies hails ‘outstanding’ season for Tsunoda
RB team boss Laurent Mekies has praised Yuki Tsunoda for putting together an “outstanding” season that “nobody could hav...

メキースはこの言葉で、角田が想定をはるかに超える水準に達したことを明言した。これは裏を返せば、内部での評価がそれ以前にはそこまで高くなかった可能性を示しており、それを根底から覆した角田の成長ぶりが、いかに衝撃的だったかを物語っている。

加えて、“outstanding(傑出した)”という単語を使った点にも注目すべきだ。これはF1チーム代表がメディアを通じて若手に贈る表現としては最上級に近い言葉であり、メキースがどれだけの信頼を寄せているかがわかる。

さらに、メキースは次のようにも述べている:

“Yuki last year… did a big step forward in terms of speed, in terms of maturity, in terms of technical feedback. And I think if there is another step like that in Yuki this year, it’s going to be really interesting.” (昨年、速度・成熟・技術的フィードバックの面で大きく成長した。もし今年も同じような進化があれば、本当に興味深い存在になるだろう)

この発言は単なる過去の評価ではなく、角田に対する“継続的な進化”を期待している表れであり、「さらに飛躍する存在」としての信頼を裏付けている。

また、別の場面では以下のようにも語っている:

“He’s able to turn up to a race weekend and, from the first lap… do just a purely faultless weekend.” (彼は週末を通じて、最初のラップから“完璧な週末”を過ごせる能力がある)

ここでは、角田の安定性と一貫性を高く評価しており、それが“速さ”と“信頼”に直結することを明確に示している。

さらに次のようなコメントもある:

“I think he has made a step this season that nobody could forecast and it’s something he should be proud of.” (今年、誰も予想できなかった成長を遂げ、それについては誇っていい)

そして2025年の初頭、角田のレッドブル昇格が話題になった際には、次のような言葉を添えている:

Mekies said he was “incredibly proud” of Tsunoda’s progress, when speaking about his promotion. (彼の進歩を本当に誇りに思っている)

このように、単なるレース成績だけでなく、「人としての進化」「安定感」「指導者としての成熟」すべてを総合的に高く評価しているのがメキースの姿勢である。

■ 動画発言から読み解く“信頼の声”

2024年公開のYouTubeインタビュー動画『Laurent Mekies on Ricciardo, Tsunoda and RB’s mission』(https://www.youtube.com/watch?v=JVeaml77Kdo)では、角田裕毅に関する生のコメントも確認できる。

この映像では、メキースが角田について次のように語っている:

「角田は週末において完璧な仕事を成し遂げる。開幕から一貫しており、技術陣と密に連携できる成熟したドライバーだ。」

この発言からは、単に速さを評価しているのではなく、チームの一員としての信頼性、開発への寄与、精神的安定感といった“構築型ドライバー”としての資質が明確に示されている。

文字情報では伝わりにくいトーンや表情から、**角田への“心からの信頼”**がにじみ出るシーンであり、記事で紹介した数々の発言の“実在性”を補強する映像資料として価値が高い。

■ リーダーとしての資質にも言及

また、Motorsport.com Japanでは次のような発言が紹介されている:

「角田がチームにいること自体が、若手育成にとってアドバンテージだ」 (Having experienced Tsunoda is an advantage to develop young drivers.)

この発言の本質は、“教えられる存在”から“教える存在”への転換にある。F1の世界で「経験者」として若手育成の要と見なされるには、レース運びや技術理解はもちろん、チーム全体に安心感を与える立ち居振る舞いが求められる。

メキースが角田にこの役割を担わせようとしていることは、単なるドライバー以上の価値──つまり、“信頼を預けることができる人間性”までをも評価している証拠である。

■ メキースの経歴と角田との相性

ローレント・メキースは、F1界で20年以上にわたるキャリアを持つエンジニア出身の指導者である。

  • 1999年:アロウズF1チームでレースエンジニアとしてキャリアをスタート
  • 2002年:ミナルディ(後のトロ・ロッソ)に移籍し、データ/レースエンジニアとして活躍
  • 2005~2014年:チームがトロ・ロッソへと変わる中、ブエミやブルデーら若手と協働
  • 2014~2017年:FIAに移籍し、副レースディレクター兼セーフティ責任者を務める(Halo導入にも関与)
  • 2018年~2023年:フェラーリでスポーティングディレクターに就任。現場指揮と技術的調整を担う
  • 2023年7月:レーシングブルズの代表就任が発表され、2024年から実働スタート
  • 2025年7月:ホーナー解任に伴い、レッドブル・レーシングのCEO兼チーム代表に就任

このように、現場のエンジニアリングとレースマネジメントの両方を熟知する人物であり、派手なパフォーマンスよりも「構造的安定」と「技術的信頼」を重視するスタイルを貫いてきた。

このメキースの性格・指導スタイルは、角田裕毅と非常に相性が良い。角田は自身のドライビングに対する的確なフィードバック力を持ち、マシンの状態や改善点をエンジニアと共有する能力に長けている。

メキースが重要視する「感覚を数値化し、開発に落とし込む力」を、角田は確実に持っている。そして、感情の起伏が激しかった初期から精神的に大きく成長した姿勢も、メキースの「360度成長」という言葉の裏付けとなっている。

また、角田はメキースのような“技術理解と人間関係をバランスよく捉える指導者”との信頼構築が早く、チームに安心と一体感をもたらす存在となりつつある。これはメキースが再建を進めるレッドブルにとって、大きな価値となるだろう。

■ 角田裕毅は「メキース体制の象徴」となり得る

ローレント・メキースの哲学は、ドライバーに対して「速さ」だけでなく「チームへの貢献度」「開発協力」「精神的成熟」を重視するものだ。その基準において、角田裕毅は完全に合致する人物であり、彼がメキース体制の中核に据えられるのは自然な流れである。

フェルスタッペン依存体制からの脱却を掲げる新レッドブルにおいて、角田の存在はますます重要になるだろう。